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2018.9.13

【イベントレポート】
丸の内アナリティクスバンビーノ#15
IoTとデータサイエンスの可能性に迫る

丸の内アナリティクス主催のミートアップイベント、バンビーノを開催しました。

第15回となる今回のテーマは、IoT×データサイエンス。

IT技術がますます加速する現代、情報端末機器以外のモノまでインターネットにつながるIoT(Internet of Things)化があらゆる業界で進んでいます。

今回の丸の内アナリティクスではIoTとデータサイエンスの実例を中心に、業界の異なる3名のゲストから、三業種三様の事例をたっぷり聞かせていただきました。

今回のレポートでは、その一部をご紹介したいと思います。

「直す」から「防ぐへ」~ビックデータを用いた新しい航空機整備への挑戦~

株式会社JALエンジニアリング
技術部技術企画室
谷内 亨 氏

日本を代表する航空会社の一つであるJALでは、デジタルイノベーションに積極的に取り組んでいます。今回はそのうちの一つであるビッグデータを用いた航空機の故障予測プロジェクトについて、プロジェクトメンバーである谷内氏にお話いただきました。

整備士として航空機の整備業務にも携わっていたこともあるという谷内氏は、2015年度から日本IBMと協働して、ビッグデータを用いた航空機の故障予測プロジェクトに携わってきました。

データサイエンスと整備士、一見深い関連性がないようで、整備に関する知見や経験がこのプロジェクトを成功に導くにあたって非常に有用であったといいます。

故障予測プロジェクトは、不具合を未然に防いで、機材の不具合による航空機の遅延や欠航を一便でも少なくしたいという目的でスタートしました。

このプロジェクトは、従来JALで行っていた小規模なデータ分析とは異なり、大規模なデータを活用して故障予測を行うという新しい取り組みとなったそうです。

幸いJALには、運航時に取得されるセンサーデータ、そして過去の整備情報データベースなど、データの山をすでに保有していたほか、航空機の知識を持ったメンバーがこのプロジェクトに携わりました。

不具合の予兆を見つけるために、あらゆる仮説を立てて行ったという当プロジェクト。当初はデータから故障予測ができるかわからない状況でスタートしたということでした。

「データ分析は極めて地道で泥臭い」

このプロジェクト経験を経て、谷内氏はこう語ります。

大量のデータをSPSSというツールに流し込めば、結果が出てくる……それまでデータ分析の経験のなかった谷内氏は、当初はデータ分析を魔法の箱のように思っていたそうです。

しかし実際は、現場の知識・経験、航空機の知識を駆使することで、ようやく故障予測モデルロジックをつくることができたとのこと。

なかでも特に重要なポイントとなったのは、現場の知見と経験。

プロジェクトの開始時から現場に足を運んで、現業の方と密にコミュニケーションをとり、そこで得た知見をもとに仮説を立てたそうです。

データ分析の結果を現場に取り入れるのではなく、現場の知見をデータで裏付けるという感覚が強いと谷内氏は言います。その作業を繰り返し行うことで新しいものが生まれ、さらなる知見が生まれる。データ分析は航空機整備においても強力な武器となったということでした。

このプロジェクトの成功を皮切りに、現在では50個ほどの故障予測ロジックを保有しているというJAL。
今後の活用事例が期待されます。

ググらせない未来が生み出すデータの価値

株式会社アクアビットスパイラルズ
代表取締役CEO
萩原 智啓 氏

同社はIoT事業のなかでも事例が少ないパッシブIoTという分野で多数のビジネス事例を展開しています。

しかし、そもそも同社の事業では「IoT」という表現は用いないといいます。ウェブ上で情報と情報をつなげるハイパーリンクのように、モノと情報をつなげていく「Hyperlink of Things」の頭文字を取った「HoT」ビジネスを展開しているというのです。

知りたいと思ったことに対してインターネットで検索にかける……というのは、もはや現代に生きる私たちにとって当たり前すぎる行為ですが、これは言語に頼ったコミュニケーションのため、万能ではありません。

つまり、検索という行為には、知りたい情報にアクセスするために適した言葉を取り出すというスキルがまず必要となってくるのです。

同社の事業である「HoT」はスマートホンをかざすだけでモノから情報を取り出すことのできる瞬間的な非言語コミュニケーションです(なんとアプリも不要なのだそう!)。

はるかに簡便化されるだけでなく、そこにはあらゆる可能性が見いだせるといいます。

2歳児が見たい動画にアクセスするためにスマートホンをかざす実証実験の様子

「HoT」では、モノにセットする情報をすべてクラウドで管理しているため、1:1ではなく1:nのコンテンツを用意することができます。つまり、単一の情報を一方的に付与するのではなく、アクセスした人の趣味・嗜好に沿った情報を提供できるという、一方通行でないコミュニケーションの可能性がそこには秘められています。

と同時に、スマホからアクセスしたユーザーのリアルな世界における行動や趣味・嗜好が同社のダッシュボードに集約され、可視化されるということでもあります。

その実用例は、提供するサービス特性によって、コミュニケーションのかたちも設置される場所もさまざまです。生活者は公共施設など外部から知りたい情報にアクセスするだけでなく、埋め込まれたICタグに個別情報を紐づけることで、家の中や店舗から依頼や注文を行えるという事例も紹介されていました。

つまり、モノと情報とサービスが生活空間のあらゆる場所でつながることができるということです。

かざすだけでその人にとって必要な情報にアクセスできる。

子どもでも、IT機器に馴染みのない高齢の方でも、言語障壁のある外国人の方でもボーダーレスに利用することができるというのは、非常に可能性を感じます。

IoT技術がつくっていく未来型コミュニケーションを示唆してくれる大変興味深い実例紹介でした。

ロジスティクスにおけるデータ活用

株式会社ダイワロジテック
代表取締役社長
秋葉 淳一 氏

ロジスティクスコンサルタントとして同業界の改革にも取り組む秋葉氏からは、長く人海戦術を駆使して発展してきた物流業界こそ、各社で保有しているデータをオープンにし、イノベーションを生み出していかねばならないという熱のこもったお話をいただきました。

物流業界の中で見えやすくイノベーションが進んでいるのは物流センターです。すべてが無人化倉庫とまではいかなくても、今や多くのセンターで搬送ロボットが活用されています。

従来の物流業界では、あらゆる面で属人性に依存する所が大きかったといいます。

だからこそ、ロボットやIoTの活用、デジタル戦略を持ち込むことで、イノベーションを生み出す可能性が眠っているのです。

物流センターにおいても、これまでは経験年数の長い従業員の方が高い生産性を持つといわれてきました。しかし、ロボットを導入することで、従業員の経験によって生産性の差が出ないようになったのです。

こうした例を見てもわかるように、人手不足や従業員の高齢化など課題を多く抱える業界こそ、新しいことにチャレンジし、積極的に変化を見出していくべきだと語る秋葉氏。

特に物流業界にとって課題となるのが、突然来る出荷指示。倉庫のキャパシティや人的リソースには限りがあるものの、遅配が生じたときに責任を取らねばならないのは配送業者です。

出荷量に関して計画値までは出せなくとも、利用者の家族構成や行動パターンなど各社が保有しているデータを集めて活用すれば、物流の自動予測精度をかなり上げることができます。

しかしながら、巨大企業から中小企業まで多層構造で構成される物流業界では、保有するデータに格差があります。それゆえに、業界全体でデータをまとめていくという流れにするには、そこに関わる人たちの意識から変革していかねばなりません。

大和ハウスグループが実施する「次世代ロジスティクス オープンデータ活用コンテスト」は新しいアイディアの募集はもちろん、ロジスティクス業界関わる人に対して、「データをみんなでオープンにしていこう」というメッセージ性も込められているといいます。

データの利活用を導入するにあたっては、もちろん技術的な壁もありますが、まず立ちはだかるのは人的な壁であることも少なくありません。

物流業界でも、こうした壁を乗り越えて、業界全体でイノベーションを起こしていこうという姿勢がいま期待されています。

交流会の様子と、運営からのご報告

データサイエンスに携わる者同士の横のつながりを

勉強会の終了後は、いつも通り交流会を行いました!

乾杯の音頭は、ダイワロジティクスの秋葉様。

交流会は、参加者同士、そして登壇者とも交流を深めることのできる貴重な機会です。

丸の内アナリティクスでは、多様な業種のデータ関連部署担当者が集まるという特性をいかして、よりコミュニティ内のコミュニケーションを活性化させていきたいと考えております。

リアルな勉強会の場とオンラインで交流できる場を生かして、ともにデータサイエンスの世界をより深め、広げてまいりましょう。

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