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2021.03.25

【イベントレポート】丸の内アナリティクス本会 ~データサイエンス機能の育成・醸成~

再開後2回目となる本会を2021年2月24日に開催しました。今回のテーマは「データサイエンス機能の育成・醸成」です。滋賀大学データサイエンス学部で行われている学生と企業の取り組みを滋賀大学の河本氏から教育視点、パルコの林氏からは企業視点でお話いただきました。その一部をレポートでご紹介します。
 

元企業人によるデータサイエンス学部の教育

 
国立大学法人滋賀大学
データサイエンス学部 教授
データサイエンス教育研究センター 副センター長
河本 薫 氏
 
30年前と比較して世界から取り残されてしまっている日本経済は、経済・社会・教育のサイクルがうまく回っていない課題を抱えています。河本氏はそのサイクルを改善するために教育が重要と考え、企業人だからこそできる大学教育に取り組むために大阪ガスから滋賀大学に転身されました。
 
学生を指導するにあたり、カリキュラムありきの発想ではなく、元企業人らしく目的や目標の設定から着手されました。データサイエンティストをビジネスデータサイエンティスト・AIデータサイエンティスト・理論データサイエンティストの3種に分類し、河本ゼミではビジネスデータサイエンティストを目指す学生を対象にプログラムを組まれたとのことでした。

 

ビジネスデータサイエンティストの仕事を「勘と経験に頼る意思決定のやり方を、データ分析も用いた合理的な意思決定のやり方に改めることで課題を解決すること」と定義し、座学の授業に加えて企業と連携したPBL(Problem-based Learning)を導入。ゼミに所属する2年間で半期ごとに実際の企業からデータ提供を受け、具体的な課題に対して原因解明から施策提案、効果検証とビジネスの現場で必要とされるプロセスを体験することで、「様々なビジネス課題についてデータと分析手法を用いて解決する全体プロセスを実現」を学生が習得できることがポイントです。

 

学生の就職先はメーカーやインフラ、金融機関、ベンチャー企業、起業など、幅広い領域に展開されています。今後、データサイエンスで社会課題の解決に取り組む河本ゼミの卒業生の活躍が楽しみです。
 

滋賀大学とPARCOのデータ活用プロジェクト

 

株式会社パルコ
執行役員
CRM推進部兼デジタル推進部担当
林 直孝 氏
 
滋賀大学の河本ゼミで行われているPBLの取り組みを行った企業の1つがパルコでした。パルコが保持しているビッグデータを提供し 、データサイエンススキルを持った人材の育成に 、滋賀大学と共同で取り組み、そこで得られた知見を、顧客満足度向上のために、サービスプログラムの改善に役立てることを目的にプロジェクトを開始されたとのことでした。

 

具体的にはスマートフォンアプリPOKET PARCOの行動ログを提供し、「お客様の離反を防ぎたい」「より多くの体験(買い回り)を作りたい」という2つの課題を学生に提示。学生が4つの班に分かれ、約4ヶ月の期間で分析から提案までを行いました。学生へのオリエンテーションではデジタルシフトやCRMの必要性、DAPC(Data- Analytics – Planning Communication)サイクル、パルコグループのデジタル戦略など、社内で使用している資料をほぼそのまま学生に開示されたというお話が印象的でした。

 

各班からの提案はデータ分析はもちろんですが、顧客ターゲットである学生ならではの視点も多く含まれている有意義な内容で、提案を参考にした施策の具体的な検討が進んでいるとのことですので、POCKET PARCOに実装される日も近いかもしれません。

 

また、公開イベント丸の内アナリティクスバンビーノを3月31日(水)に開催することが決定いたしました。テーマは2月の本会と同じ「データサイエンス機能の育成・醸成」です。最新の開催情報に関しましてはCompassにてご案内しております。

今後とも丸の内アナリティクスをどうぞよろしくお願いいたします。

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