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2021.06.10

【イベントレポート】丸の内アナリティクス本会 ~DXって結局どうだった?~

2021年4月28日に「DXって結局どうだった?」というテーマで本会を開催しました。
今回も当日のご講演の一部をレポートでご紹介します。

DXって結局どうだった? DXの渦中で感じる重点


株式会社パルコ
PARCO SC事業グループデジタル推進部 業務部長
安藤 彩子 氏

DAPC(Data Analytics Planning Communication)サイクルを繰り返すことで顧客理解を深め、適切で良質なコミュニケーションを実現し、CXの改善を日々進めているパルコでは、DXの取り組みを早くから推進されています。スマートフォンアプリPOCKET PARCOやデジタルサイネージなどオムニチャネル接客の強化、接客・棚卸ロボットやAIカメラによるテナント来店客解析などのデジタルSCプラットフォーム化、PARCOポイントや自社アプリQRコード決済などのCRM基盤の構築、新生渋谷PARCOでのICT活用による新しいショッピング体験の提供といった先進的な施策を次々と展開されています。

コロナ禍においてもPARCO ONLINE STOREの拡大や3Dオンライン展示会、公演ライブ配信といったオンラインチャネルの活用、遠隔インフォメーショントライアルやARを活用したクリスマス演出、館内放送機械音声化(Aiアナウンサー)といった店舗でのデジタル活用、さらには心斎橋PARCOオープンに合わせて入館予約システムやバーチャルツアー、インフォメーションサイネージを導入するなど、DXの取り組みが進化しています。

先端を走るパルコではデジタルSCプラットフォームを進化させるために、今後のDX推進において4つのポイントに注力されています。1つ目は永続的なDAPCサイクルによる店舗体験を通じたファン化促進を行い、従来の宣伝販促による集客に加えてCX向上によるLTV拡大を推進。2つ目はパルコが所属するJFRグループでのデータ活用や顧客交流への展開。3つ目はOMO売場を実現するオンラインストア改革。4つ目はXR技術によるリアル×デジタルPARCOの魅力創出です。

講演の最後には今回のテーマである「DXって結局どうだった?」という問いに対してこのように締め括っていただきました。

 

AI技術を活用したDG Labでの取り組みとデジタルガレージのデータドリブン化への道


株式会社デジタルガレージCDO(チーフデータオフィサー)
(現 東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)
MaaS・Suica推進本部 データベースマーケティング部門)
渋谷 直正 氏

デジタルガレージでは危険を顧みず勇気をもって最初に飛び込む“ファーストペンギン ”スピリットを大切にしており、渋谷氏は技術を使って新しいビジネスを生み出すことを目的にしたR&D組織「DG Lab」のデータ活用分野を率いてこられました。

すべてのプロジェクトがアジャイル開発で進行しているだけでなく、ラボ内で定期的行われているメンバー同士の意見交換から新しいアイディアが生まれ、プロジェクト同士のコラボレーションに発展することがDG Labの強みです。具体的な事例として、マーケティングに活かせるクラスタリングツール開発や、デジタルガレージのマーケティング現場を巻き込んで行った運用型広告のクリック予測モデルをご紹介いただきました。

先進的な技術をビジネスで活用することに挑み続けているDG Labが、現在注目している技術は、暗号計算の一種でデータの中身を見せないで処理することができる「秘密計算」です。解析している人間がデータの中身を見ることができないため、個人に紐付かない統計値として結果を出力することが可能となり、複数社のデータを紐づけて予測モデルの構築などができるようになります。ただし、個人情報を扱う場合は現行法では個人への同意が必要なため、デジタルガレージが中心となり秘密計算研究会を発足させ法改正などの働きかけを行っていくとのことでした。

データ活用の取り組みを部門内に留めるのではなく、全社的に広げてデータドリブンな状態にするために行っていることがマーケター向けデータ分析勉強会です。目の前にデータという良い材料があっても、データ分析の手法や使い方を知らないとアイディアが浮かんでこずにデータをスルーしてしまうからです。さらに人間は価値を感じないと勉強をしないので、マーケターが身近に感じる事例を取り上げて「うまく使えればマーケターの武器になる」という点を強調した勉強会を構成しているとのことでした。データドリブン化を進めるにあたっては小さな成功を波及させる動きがファーストステップで、その草の根的なボトムアップで徐々に広げていき、機が熟した時に一気にIT投資を行うことが重要です。DXがトップダウンで浸透しないケースも多いが、現場の小さな成功が大きなうねりになっていくという言葉が印象に残りました。

 

今後も丸の内アナリティクス本会の模様もレポートしてまいります。
また、公開イベント丸の内アナリティクスバンビーノの開催情報に関しましてはCompassにてご案内しております。

今後とも丸の内アナリティクスをどうぞよろしくお願いいたします。

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