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2019.08.28

【イベントレポート】丸の内アナリティクスバンビーノ#19 ~プロフェッショナル・データサイエンティストの視点~

丸の内アナリティクス主催のミートアップイベント、バンビーノを開催しました。

第19回目となる今回のテーマは、「プロフェッショナル・データサイエンティストの視点」。3名のゲストをお招きして、各社の取り組みについてお話いただきました。

今回のレポートでは、その一部をご紹介したいと思います。

LINEのデータ活用

LINE株式会社
Data Science and Engineeringセンター
​Data Labs ​Data Science1チーム マネージャー
牟田 博和 氏

コミュニケーションアプリ「LINE」をはじめとして多角的なサービスを展開するLINE株式会社の牟田氏からは、幅広い領域で事業を展開するLINEのデータにはどのような特徴があるか、またそのデータの一例についてもご紹介いただきました。

LINEでは膨大な量のデータを抱えていますが、それを使用する目的はあくまでも「ユーザーとよい関係を築くこと」であると言います。企業側の短期的な成果に焦点を絞るのではなく、長期的にユーザーと良い関係を築くためにデータを活用すべきであると主張しました。これを実現するために、ユーザー属性を考慮し、コンテキストの理解を行うことが大事だと言います。

LINEがミッションとして掲げる「CLOSING THE DISTANCE」──ユーザーとユーザー、ユーザーとコンテンツ、ユーザーと企業、それぞれの距離を近づけること──データの利活用にあたっても、その考えが起点になっているそう。

最近では、対外的な施策だけでなく、全社的なデータリテラシーを向上させていくことも視野に入れているとのお話についても伺いました。

 

続いては、みずほ銀行でデータを使った新規事業に取り組むお二方に登壇いただき、既存の銀行のイメージとは異なる斬新な取り組みをご紹介いただきました。

『金融機関の新たな挑戦~スマートスタジアム・スマートイベント~』

株式会社 みずほフィナンシャルグループ
株式会社みずほ銀行 デジタルイノベーション部
データビジネスチーム デジタルストラテジスト
現(株式会社ふくおかフィナンシャルグループ 株式会社福岡銀行
事業戦略部 オープンイノベーション推進グループ)
横山 隆之 氏

データビジネスチームで新規事業の創出に取り組んでいる横山氏には、みずほグループの新しい取り組みを2例ご紹介いただきました。

一つは、産学連携協定を結んでいる早稲田大学のラグビー蹴球部と連携したラグビーのアプリ開発について。もう一例は『HashiGO』という、イベント・お祭りで見られる回数券形式に対応したペイメントのサービスについてでした。

開催時点で前者はまだ本導入に至っていなかったものの、後者はすでに福岡で開催された地域のはしご酒イベントで実施済みとのこと。イベントデータの分析結果などについてもご紹介いただきました。

なぜみずほグループは銀行のイメージとは異なる新しい事業を手がけるのか──それには、そもそも銀行のデータには顧客サービスに還元できるような“使える”データが多くないという理由があるそう。

主要事業では取得しきれない、より深い階層のデータを主体的に取りに行き、金融データと掛け算していくことで、絶えず顧客への付加価値を提供していく必要がある。上記の取り組みはその一環ということでした。

今後は各サービスの改善にも取り組まれるということなので、ぜひまたバンビーノで報告していただけたらと思います。

『金融機関の新たな挑戦 ~J-Coin Payと千葉ロッテマリーンズ~』

株式会社みずほフィナンシャルグループ
株式会社みずほ銀行 デジタルイノベーション部
データビジネスチーム 次長
多治見 和彦 氏

横山氏と同じくみずほ銀行のデータビジネスチームで次長を務める多治見氏からは、今年3月にローンチした『J-Coin Pay』についてお話いただきました。

今やLINE PayやPayPayをはじめとした多くのペイメントサービスがありますが、J-Coin Payもそのひとつ。金融機関が自ら構築したインフラであり、QRコード決済を導入し、その中身は銀行口座からチャージする仕組みになっています。外部から金融機関につなぐ必要がないため、J-Coin Payインフラ内のトランザクションが少ないのが特徴だそう。

このサービスにおいてみずほ銀行は、他行と手を結んで、コーポレートカラーを主張することなく新たな銀行連合として展開しています。現時点で70行超の金融機関・地域金融機関に賛同いただいているとのこと。

みずほ銀行がこうした今までの枠組みにとらわれないプロジェクトに取り組む理由は二つ。まずATM など現金の取り扱いコストが大きいという点。そして横山氏のお話にもあった通り、銀行には“使える”データが少ない──つまり、銀行口座の動きだけでは個人の行動までは追えないという課題があるためだそうです。

今回はローンチからこれまでのユーザー数や送金・決済額の推移、その分析についてもご紹介いただきました。今後は一般への認知を高め、加盟店を増やしていくなどプロモーションにも取り組んでいくとのこと。その一環として、千葉ロッテマリーンズと提携したキャンペーンについてもご紹介いただきました。

今後も単体でやるということには拘らず、外部の優れたシステムやサービスを展開する企業と協働しながら、キャッシュレスという文化を日本に広げていきたいとのことでした。

* * *

次回バンビーノは開催が決まり次第、丸の内アナリティクスHP・connpassにてご案内いたします。

今後とも丸の内アナリティクスをどうぞよろしくお願いいたします。

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